発症から数カ月以内の方①

(作成日:2022年7月1日/編集済)

数年前までの患者さんは、MECFSにたどりつく前に、多くの医療機関を受診し、発症から数年経過後にようやくMECFSにたどりつくことが多かった。そのためご自身がMECFSで発信している方の多くは、すでに慢性状態で、MECFSととらえてまちがいないと思われる方が多かった。

最近は、啓発の効果、SNSの普及、コロナ後遺症などで、発症から日が浅いうちにMECFSを知れる機会が増えている。
それに伴い、急性期の患者さんに、道案内のようなメッセージが要るのではないかと感じている。


1. 鑑別が必要であること

発症から日が浅い患者さんは、他の疾患・難病・進行性の病気だとまずいので、頭の半分はMECFSかもと思いつつ、もう半分は、もしかすると他疾患かもしれない、という感覚が大切。加えて、MECFSは明確なバイオマーカーがなく、鑑別しないと診断がつかない。

私がお問い合わせなどでお返事するとき、特に次のような場合は、基幹病院やそれに準ずる医療機関での鑑別検査をおすすめしている。

1. 全身倦怠感やそれに準ずる症状とは異なるかもしれないニュアンスで、身体が物理的に動かしにくくなったり、強い痛み・腫れで動作できないような場合。

2. ブレインフォグや脳疲労とは異なるニュアンスで、脳のはたらきに支障が出てるかもしれない場合。


2. 困っている症状・経過を説明できるようになること

ネットでなんでも調べる時代なので、患者さんが自分の病気のことを調べることは当然と思う。ただ、いざ医療機関を受診するとき、患者の役割をできるようになると、診察室での話がスムーズにすすみやすい。

それは、お困りの症状や、病気の経過を説明できるようになること。自分の体調を振り返り思い出して、先生に説明できるとよい。

なお診察室は、その場の雰囲気に飲み込まれたり、通院・待ち時間で疲れ果てたりするので、できるだけメモを持参すると良い。メモ持参は米国疾病対策予防センター(CDC)でも推奨されている。

★参考:受診前の患者様・ご家族様の準備について(ME/CFS info)


逆に、おすすすめしないこともある。
診察室で唐突に、自己診断した診断名を医師に告げたりすると、心象が悪くなる事が多いので、気をつけたい。

患者のしごとは困りごとを伝えることで、医師のしごとは診断すること、と思いながらすすめるとよいと思う。
なお、患者のしごとをしっかりしても、医師が対応できないケースは、残念ながらまだ数多く有る。どうしても話が噛み合わないときは、他院に行くことをおすすめしたい。