疾患啓発・イノベーター理論・超えるべき壁

(作成日:2020年6月17日/編集済)

認知度がきわめて低い疾患や、いろいろ誤解されてる疾患にとって、当面の目標は、各地域の基幹病院で診療が行われるようになったり、検査法・治療法の検討・確立であったり、医学部教育に追加されたり、病名が病名マスターに登録されることなどである。


このような目標にむかって啓発するにあたり、私はマーケティングのイノベーター理論がいつもどこか頭の片隅にある。イノベーター理論とは、新しい商品やサービスが世の中で受け入れられて普及する過程について、消費者を5つに分類して分析した理論で、ネットでもすぐ見つかる。

新しいものを市場で広めようとするとき、まず革新的なイノベーターが飛びつき、つぎにオピニオンリーダー的なアーリーアダプターが注目し受け入れる。全体の16%あたりでキャズムを超えることができると、アーリーマジョリティ、レイトマジョリティ、ラガードへと順々に浸透するようになる、というものである。

イノベーター理論のイメージ画像


これはビジネスに限らず、啓発でもあてはまると思う。イノベーターやアーリーアダプターの方々に関心・理解を頂き、キャズムを超えて、病気として認められるにはどうしたらよいか。まだ全然浸透していないときに、唐突にレイトマジョリティやラガードにアタックしても、理解を得ることはむずかしい。


さてここで、認知度がきわめて低い疾患の啓発が、一般的なビジネスとは大きく異なる難しさがある。それは一般のアーリーアダプターにご理解頂くだけでなく、医療関係者の理解が必ず要る、ということ。診断や治療や関連業務を、医療関係者でない人が代替できないので、どうしてもこれが要る。しかし認知度がきわめて低く、いろいろ誤解されてる疾患で、医療関係者の理解を推進することは、とてもとてもハードルが高い。

ただしまったくの前人未踏ではなく、海外の啓発団体では活発に行われている。私の病気は日本語情報がとても少なく、海外の疾患啓発団体を参考にするので、啓発方法をもよくみるが、
彼らはアーリーアダプターの医療関係者を巻き込み、直接的なコミットがすごい(寄付制度のちがいの影響も大きいが、医師と患者の有り様の概念もちがう)


最近は、ネットの普及や機能向上により、図書館に行けなくても医療の情報、英語の情報にアクセスしやすくなった。海外の活動も参考にしながら、国内の医療関係者の理解がすすむにはどうしたらいいか、試行錯誤している。なんとかしてキャズムを超えて、疾患がきちんと認められるようになりたい。