上咽頭擦過療法(Epipharyngeal Abrasive Therapy:EAT、Bスポット治療)がどのような症状に効きやすいかの参考のため、 EATを5回以上受けた方にアンケートをとりました(2022年4月29日~5月7日/google form/n=89)
背景
1. EAT治療の概要(歴史、手技、考えられるメカニズムなど)は、慢性上咽頭炎ページ(病巣疾患研究会のサイト)を参照。
2. EAT治療がどのような患者さん・どのような症状に特に効きやすいかは、実は従前、人によってけっこうちがうかもと言われていた(コロナ前は、それほど多くの人が受けていた治療ではないので、よくわからなかった)
3. 2022年春に、”コロナ後遺症”に対するEAT治療で、上咽頭炎、倦怠感、頭痛、注意力の障害に効果有り、とする論文がリリースされた。
⇒Epipharyngeal Abrasive Therapy (EAT) Has Potential as a Novel Method for Long COVID Treatment
コロナ後遺症治療の新しい方法としての可能性:上咽頭擦過治療(EAT) (病巣疾患研究会のサイト)
アンケートの結果
さまざまなきっかけ・症状でお困りの方を対象に、TwitterでEATの効果を聞くことができた。
●調査期間:2022年4月29日~2022年5月7日
●対象:体調不良があり、EAT治療を5回以上受けた方。()は各疾患の回答数
・筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(37)
・新型コロナウイルス感染症の罹患後の体調不良(32)
・新型コロナウイルスのワクチン接種後の体調不良(20)
・POTS、失神、起立性低血圧(起立不耐症・起立性調節障害)(16)
・線維筋痛症(7)
・脳脊髄液減少症(4)
・上咽頭炎
・自律神経障害など
●有効回答数:n=89(性別:男性:女性=34:66)
●各症状について「症状無し」の回答を除き、効果の割合を確認。
●「よく効く」「いくらか効く」(TOP2)を“効果有り”とした。
全体の結果
全身倦怠感53.6%、ブレインフォグ53.4%、頭痛48.4%(かなり驚異的な数字!)
その他の回答として「視界が良くなった」「呼吸しやすくなった」「痛みが減った」「胃腸症状が減った」などがあった。
補足:数は非常に少ないが悪化例もあるので、合わないと感じた人は無理しないように気をつけたい。効くかどうか、4,5回は続けて判断するとよいと思う。なかには異なる手技によって効果がでることもある。
ME/CFSの結果(コロナ後・コロナワクチン後を含んでいない)
ブレインフォグ69.2%、全身倦怠感57.1%、頭痛52.6%。
コロナ後遺症のみの結果
全身倦怠感56.7%、頭痛44.0%、ブレインフォグ42.3%。
“コロナワクチン後”は、各症状のnが20以下のため出していないけれども、 ”全体傾向”を参考にして頂いて問題ない。
先程お示しした論文とも整合性のとれているし、まとめると、特に「全身倦怠感」「ブレインフォグ」「頭痛」がある方に、おすすめしやすい治療と考えて良いと思う。